2019.08.02

タイアップの決め手は3つの読者特性。予想を上回るCTRはニーズの仮説検証に役立った

書き手 有馬ゆえ
鈴木静華
タイアップの決め手は3つの読者特性。予想を上回るCTRはニーズの仮説検証に役立った
「北欧、暮らしの道具店」と、企業様とのタイアッププログラムである「BRAND NOTE PROGRAM」。お取り組み企業担当者様インタビューでは、お取り組みのきっかけやその後の反響などを伺っています。

今回お話を伺ったのは、2019年4月にお取り組みさせていただいた食品ブランド「ZENB(ゼンブ)」でご一緒した、ミツカングループの株式会社ZENB JAPANの栢木実さん。

類似商品のなさ、それゆえのオケージョンやベネフィットの伝え方を模索していましたが、「北欧、暮らしの道具店」とのタイアップを通して、ある仮説が実証されたそう。その理由、そして経緯とは? 担当プランナーの南澤がお聞きしました。

「ZENB」はミツカンの過去と未来をつなぐブランド

――初めに、「ZENB」が誕生した背景を教えてください。

数年前から、世界人口が増加することによる食糧不足がいよいよ現実的な問題として取り上げられるようになりました。食品ロスへの意識も高まっており、日本でも5月に「食品ロス削減推進法」が制定されました。こうした状況のなか、ミツカングループでも、食の未来を考えていく上で、この課題への対応は重要なものと捉えています。

そこで新しい技術を用い、今までは捨てていた野菜の皮や種、芯などをうまく活用し、おいしく栄養を取れる食品の開発に着手。そして生まれたのが、まるごと野菜を使った「ZENB」です。着色料や香料、動物性原料には頼らず、安心・安全かつ飽きのこない味づくりを追求しています。


ミツカンが掲げる「未来宣言ビジョン宣言」。画像は公式サイトのキャプチャー

――ミツカンさんが2018年秋に発表した「未来ビジョン宣言」にも、「人と社会と地球の健康」というキーワードが上げられていますよね。

そうですね。実はZENBは、ミツカンの未来へのビジョンだけでなく、その元となるこれまでの歴史にも通ずるものなんです。

たとえば、ミツカンには酢や納豆など健康を意識した商品が多く、これは「おいしさと健康の一致」に挑戦し続けている表れ。おいしいだけ、体にいいだけではない、その二つを両立させるのはとても難しいのです。

「捨てていた部分も上手に活用する」というのも同様です。そもそも、ミツカンのルーツである酢が、酒造りで残った酒粕をおいしく有効活用してできたものですからね。江戸時代から続く長い歴史を見渡すと、ZENBは今の時代にミツカンから出てくるべくして出てきたブランド、そして商品なんです。

「北欧、暮らしの道具店」とのタイアップは、読者特性が決め手に

――ZENBの発売は2019年3月。当初は、どんなコミュニケーション戦略を取っていたのでしょうか。

ZENBのテーマは「『食べる』のぜんぶを、あたらしく。」。その言葉通り、世の中に類似商品が見当たらない新しいものだと思っています。

そのため、ニーズやターゲットは仮説の域を出なかった。ミツカンブランドではなく、新しいブランドとして立ち上げたため、ファンの獲得も一からのスタートだったんです。ですから、誰にどういったコミュニケーションを取ればいいのかには、頭を悩ませていました。

――そのなかで、「北欧、暮らしの道具店」にお声がけいただいたのはなぜですか?

ZENBはコンセプトなど、さらりとした説明ではベネフィットが伝わりづらい商品。当初から記事広告でコミュニケーションを取り、じっくり読んで理解してもらおうと考えていました。

「北欧、暮らしの道具店」さんへお声がけするに至ったポイントは、3つあります。1つめは、読者ターゲット。「北欧、暮らしの道具店」さんのメインターゲットは、忙しいなかでもこだわった暮らしをしたい、家族のためにいいことをしたいというお母さんたち。これは、仮説的に設定していたZENBのターゲットと親和性が高かった。

次に、読者のリピート率の高さです。週に1回、90%以上の人がサイトに来訪していて、なかには週3回訪れる人もいるそうですよね。一言では伝わりにくいZENBの魅力についてじっくり読んでいただきたいという気持ちがあったので、熱量の高い読者を持っている「北欧、暮らしの道具店」さんに期待を抱いたんです。

最後に、EC販売もしている媒体だということ。ミツカンではECサイトでの販売の経験・実績が乏しいため、記事を読んで購買行動に移すということに慣れた読者にコミットしたいという思いがありました。

CTRは想定の3倍以上に。ニーズ、ターゲットの仮説検証にも役立った

――実際にお取り組みをしてみて、どんな感想を抱かれましたか? 取材にもご同行いただいて、楽しかったとおっしゃっていたのがうれしかったのですが……。

オリエンの段階からずっと感じていたのは、熱量のすごさです。プランナーとライターのお二人が読者の生活やその悩み、喜びについてよく理解していて、友人、知人に対して説明するように、どうすればZENBの価値が届くのかを一生懸命考えてくださったのが印象的でした。企画についてディスカッションしたり、アドバイスをいただいたりする際も、とても心強かったです。

取材対象者だったスタッフの寿山さんも、いち母親としてのご自身の体験を交えながら、商品のベネフィットを実感として伝えてくださいましたよね。商品の良さについて、一人のお母さんの生の声として語ってくださったことがありがたかったです。

お子さんも喜んで食べてくださったし、取材中は終始、和やかな時間で本当に楽しかったです。


「BRAND NOTE ZENB編」のお取り組み

――公開された記事には、どんな反応がありましたか?

記事が出た瞬間から、社内外からいい反応が集まってきました。社内では、「そうそう、ZENBってこういうブランドだよね」という声がみんなから上がって、取り組みをして良かったなと思いました。

記事の内容だけでなく、写真もとても気に入ったので、使用させていただきましたよね。商品とその使用シーンがよくまとまっていて、シンプルだけど伝わる写真で。いただいた2点は素材としてたくさん活用していて、本当に助かっています。

――お取り組み全体を振り返ってみて、どんな感想を抱かれましたか?

そもそも今回の目的は、ZENBというブランドと商品、そしてウェブサイトの認知度を上げることでした。「BRAND NOTE」では記事の最後にリンクのバナーを置いていただいたので、クリック率(CTR)は読了率という意味合いで見ていました。

具体的には、CTR は11.4%という数字が出ましたね。これは、想定の3倍以上の結果。また、フェイスブックのリーチが8万超と、多くの人に届いた実感もありました。

――私たちも、商品の特徴を丁寧に説明することがCTRにつながるという気づきを得ることができました。数字以外には何かありますか?

もっとも大きかった収穫は、商品のニーズやターゲットについて、仮説を検証することができたこと。CTRの高さによって、「お子さんのおやつ」がZENBのキーワードとなること、ZENBに「お母さんの親心を手伝える」というベネフィットがあるということが実証できたと考えています。

今回は、スティックを中心にプロモーションしましたが、読者さんからはちらりとしか触れていないペーストについてもずいぶんご意見をいただきましたよね。

ペーストに関しては、活用するのに調理のスキルが必要なのですが、いろいろな料理にアレンジしやすい分、食生活に入り込んでいきやすいという面もある。それが、「北欧、暮らしの道具店」さんの読者に響いたのかもしれませんよね。どういう訴求ができるのか模索している途中ではありますが、またぜひご一緒できたらと考えています。

ZENBでおいしさと健康を一致させた新しい食生活の提案を

――ありがとうございます! 今後は、どのようなプロモーション展開をしていこうとお考えですか?

まず、スティックとペーストという現在の2商品について、より多くの人に届けられるよう施策をしていきたいですね。今回の「家族を思うお母さん」という切り口は深掘りしつつ、別の切り口での訴求にもトライしていくつもりです。

たとえば、ご自身の健康に配慮するという切り口もあるでしょうし、リアルイベントで実際に食べていただくのも大事だと思っています。ZENBはアメリカでも販売しているのですが、欧米ではサステナビリティの意識の高さから、環境への配慮というアプローチが効果的だということも聞いています。

――最後に、ZENBというブランドの今後について教えてください。

今後は、既存の2商品のさまざまな活用法をご提案すると同時に、新しい味や新しい商品カテゴリの開発も行っていく予定です。

Instagramでは日々スティックやペーストを使ったレシピを発信してしますし、7月にはスティックに新しく「パンプキン」味が加わりました。一方で、食品ロスを考える高校生向けの教育プログラムに協賛するなども行っています。

これらはすべて、おいしさと健康を一致させた新しい食生活をご提案したいという思いから。「人と社会と地球の健康」、つまり人や社会にとって健全で、地球に対する負荷をより少ない新しい食生活を提供できるよう、毎日の食生活に貢献できる商品・サービスについて、私たちにできることを取り組んでいきたいと考えています。

【BRAND NOTE ZENB編】はこちらよりご覧いただけます。
BRAND NOTE PROGRAMのお取り組み事例の一覧はこちらよりご覧いただけます。