暮らしを支えるロングセラーブランド

一杯の紅茶が、心のゆとりを取り戻してくれる。「リプトン」が目指すのは、おいしい紅茶のある豊かな時間

書き手 阿部 花恵

写真 鈴木 静華

一杯の紅茶が、心のゆとりを取り戻してくれる。「リプトン」が目指すのは、おいしい紅茶のある豊かな時間
子どもの頃からなんとなく存在を知っていて、大人になってふと気づいたら手に取っていたーー。時代を超えて愛されるロングセラーブランドの秘密を知ることは、「本当にいいもの」とは何かを考え直すことでもあります。

「暮らしを支えるロングセラーブランド」は、長く、広く、多くの人々に愛され続けている商品にスポットをあてた連載シリーズです。

今回、お話をお聞きしたのは、ユニリーバ・ジャパン株式会社の小林令奈さん。日本においては紅茶の代名詞ともいえる「リプトン」ブランドの担当である小林さんに、リプトンならではのこだわりや強み、ブランド戦略について、お話をお聞きしました。

ユニリーバ・ジャパン株式会社
マーケティング-リフレッシュメント
ブランド アシスタント リプトン

小林令奈さん

2016年にユニリーバ・ジャパン・株式会社に入社。2018年9月にパッケージをリニューアルした「リプトン イエローラベル」を中心に、全世界で展開する紅茶ブランド「リプトン」商品群にまつわるマーケティング全般の業務を担当。普段最もよく飲む紅茶はストレートティー。

「ティーブレンダー」が日本人の好みに合う茶葉を厳選

――日本にリプトンが上陸したのは1906年。ティーバッグが日本に普及したのは1960年代。以来、日本人にとっては最も身近な紅茶ブランドといえるリプトンですが、日本版ならではの特長は?

一番自信を持って言えるのは、やはりイエローラベルをはじめとする製品の味わいへのこだわりです。イエローラベルは太陽の恵みをたっぷり受けたケニア産の茶葉を中心に、日本人の嗜好に合うようにブレンドでバランスのよい味わいに仕立て上げています。

具体的には渋みをやや抑えて、紅茶のコクと香りのバランスを重視したまろやかな味わいを目指しています。

リプトンはイギリス生まれのブランドですが、定番商品である「リプトン イエローラベル」をはじめとして、日本のリプトンの紅茶商品は、ほとんどは日本国内で製造しているんです。

――同じ「リプトン」ブランドでも、国ごとの好みの味わいは違うんですね。

はい。茶葉は農作物ですから、その年の気候や雨量、乾燥の程度によって、収穫量や味わいも当然変わってきますよね。とはいえ、毎年違う味わいになってしまっては、ブランドとしてのクオリティが保てません。

そこで一定の品質を常にキープするために、弊社にはティーバイヤーやブレンダーと呼ばれる「ティーエキスパート」が多数在籍しています。

とくに、日本のリプトンには「マスターブレンダー」と呼ばれる世界にわずか10人しかいないティーエキスパートの1人がおります。日本の水との相性を考慮しつつ、日本人の味覚に合う茶葉を特別にブレンドしています。

――日本人のマスターブレンダーがいることは、日本のリプトンにとっては大きな強みですね。

マスターブレンダーは普段からさまざまな紅茶を飲み比べているのはもちろんのこと、食事で刺激の強いものの摂取を避けるなど、感覚を鈍らせないために普段からさまざまな配慮をしています。彼にインタビューしてみたらきっと面白いと思いますよ(笑)。

紅茶のおいしさを最大限に引き出すピラミッド®型ティーバッグ

――2002年から採用している「ピラミッド®型ティーバッグ」もこだわりのひとつといえるのでしょうか。

はい、ポットに茶葉を淹れて作るリーフティーがなぜおいしいかというと、お湯を注ぐことで対流が起きて、茶葉がふわっと浮いて上下に揺れるジャンピング現象が起きるから。ティーバッグという手軽な形の中でも、ピラミッド®型ティーバッグの構造ならば、紅茶のおいしさが最大限に引き出せます。

「イエローラベル」は弊社の基幹商品ですから、おいしさと手軽さの兼ね合いを追求した結果、このピラミッド®型ティーバッグにたどり着いた、といえると思います。

カフェインレスというトレンドにどう向き合う?

――2018年9月には「リプトン カフェインレスティー」が新登場。同じくカフェインゼロをうたう「リプトン ヘルシースタイル アップルルイボス」も同時発売するなど、最近はカフェインレス商品にも力を入れていますね。

ここ数年のトレンドとして、コーヒーでも紅茶でも「カフェインレス」商品が各社から続々発売されていますよね。一方で、「やっぱりカフェインレスはおいしくない」「味が物足りない」という意見もあります。

なぜ2018年のタイミングでリプトンが「カフェインレスティー」の発売に踏み切ったかというと、長い開発期間をかけて、ようやく「おいしいと感じられるカフェインレスティー」が完成したからです。

カフェインレスだけれども、紅茶本来の深い味わいや爽やかな香りはしっかりと楽しめる。そんなカフェインレスティーを目指して試行錯誤を繰り返した結果、弊社が誇る「イエローラベル」と同等レベルの消費者評価を得ることができましたので、ようやく発売に至った、という経緯があります。

――「イエローラベル」の茶葉とはまた違う茶葉を使用しているのでしょうか?

はい。「ディンブラ」という高知産の茶葉を使っております。色、味、香りのバランスがとれていることが特徴の紅茶です。

市場に出ているカフェインレス紅茶はアールグレイが多いんですね。アールグレイは非常に華やかな香りがあるのですが、夜に飲むとなるとちょっと重い、と感じられる方もいらっしゃいます。

対して、リプトンのカフェインレスティーはみずみずしい摘みたて茶葉のような爽やかな香りが特徴です。ですから、他社のカフェインレスティーとは味わいがまた異なるのでは、と思っています。

最近の健康志向をみても、「体にいいものを無理に続ける」のではなく、「何となく体にいいもの、とっつきやすいものをゆるやかに続けていく」という傾向のほうが高まっているように感じられます。カフェインレスティー、ハーブティー、ルイボスティーなど、多様な選択肢からその時時の気分で選んでいただけると、うれしいですね。

紅茶に慣れ親しんでもらうための「ティースタンド」が誕生

――2018年には札幌・名古屋・博多でブランド初となる紅茶専門店「リプトン ティースタンド」を出店。ブランドとしての狙いを教えてください。

普段あまり紅茶を飲まない方に、「紅茶っておいしいよ」と言ってもあまり聞き入れていただけないですよね。コーヒーやほかの飲料と比べると、紅茶の市場はまだまだ小さい。「ケーキを食べるときだけ紅茶を飲む」というように、飲用シーンがかなり限られている状態です。

では紅茶を飲まない人にどうアプローチしていくか、というこことを考えた結果、やはり「イメージを変えていくこと」が大事だという結論に達しました。日常的で、カジュアルで、スタイリッシュなものにしていくことがひとつ。

もうひとつは、コーヒーと違って外で紅茶を飲める機会がそもそも少ないということ。コーヒーチェーンはたくさんありますが、気軽に立ち寄れて紅茶を飲めるような場所は本当に少ない。

その2つに注目して誕生した新業態が「ティースタンド」です。休憩時間にちょっと立ち寄ってリラックスしてもらったり、友人と訪れておしゃべりが弾んだり、季節の果物を使ったフルーツティーを楽しんでもらったり……そんな豊かな時間をつくるための場として、ティースタンドを活用していただければ、と思っています。

今の時代、どこに行ってもすごいスピードで情報が追いかけてきますよね。もちろん、そのことによるメリットもありますが、今このときの瞬間や、目の前の人をおろそかにしてしまいがちな一面もあると思っていて。

そんなときに一杯の紅茶を飲むことで、ふっと心に余裕を取り戻せたらいいですよね。「リプトン」というブランドを通じて、人生の豊かな時間をつくるお手伝いをしていければ、と思っています。

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