ECメディアが広告媒体になる、その強みとは──青木耕平×佐藤友子×嶋浩一郎 B&Bイベントレポート【後編】

書き手 編集スタッフ 馬居

写真 鍵岡 龍門

ECメディアが広告媒体になる、その強みとは──青木耕平×佐藤友子×嶋浩一郎 B&Bイベントレポート【後編】
下北沢の本屋・B&Bにて行われたイベント「『北欧、暮らしの道具店』に学ぶ、愛されるサイトづくり」イベントレポート後編です。

クラシコムの立ち上げから、「北欧、暮らしの道具店」での苦労話など、様々な話題で盛り上がった前編に引き続き、今回は後半に語られたWEBメディアとしての「北欧、暮らしの道具店」にまつわるお話をレポートにしてお届けします。

広告のプロである嶋さんや、観客の皆様からの鋭いツッコミにより、創業者2名の考えが深く引き出される機会となりました。

年商1億円を超えても幸せになるのは難しい…

博報堂ケトル・嶋(以下、嶋)
さて、Eコマースである「北欧、暮らしの道具店」が、広告*を販売する流れになったのはなぜなのでしょう。

*クラシコムの広告事業「BRAND NOTE PROGRAM

クラシコム代表・青木(以下、青木)
「北欧、暮らしの道具店」を始めて3年くらいで、年商1億円に到達しまして。年商1億円になったら幸せになるって聞いていたんですね。でも、全然そんなことないじゃん!って。

まだまだ安定しているとは言い難い状況というか、粗利も購買頻度も低いインテリア雑貨だけで商売をするってのは、大変なことだと。ああ、僕らは、苦労する商材を選んだなということに改めて気付きました。

このまま大きくなっても状況は変わらないので何か打開策はないかと。そこで、当時売上の15%は広告費に使っていたので、これをゼロにして今の成長率をキープしていけば、もっと幸せになれるのになと考え始めたんです。

広告を出さないでも集客するにはどうしたらいいんだろう。そもそも広告を出すサイトと、お金をもらって広告を出すサイトの違いは何なんだ。知名度かなと思いましたが、アマゾンもたくさん広告を出していますし。

結論としては、自分たちにメリットのある人だけに来てほしいサイトは広告を出している。ECはもちろん、旅行サイトなんかもそうですよね。トランザクションを起こす人だけに対してサービスを運営しているサイトです。

でも一方、訪れた人みんなにお土産をあげるサイトはお金をもらっていました。Yahoo!などのメディアですね。だったら、僕らもこっちサイドになれば、広告を払うどころかもらう立場になれるのではと考えました。まあ、最初は、夢みたいな話でしたが。

そうしてメディア事業に力を入れていくうちに、本当に広告出稿を最低限にしてもたくさんの方が訪れてくれるようになり、自分たちが広告を販売する側になるまで成長することができました。

世界観なんて意識していません。


閲覧者のボリュームはもちろんタイアップ記事が広告として成り立つのは、「北欧、暮らしの道具店」に世界観があるからですよね。

例えば、30代の女性誌はたくさんあるけれど、同じ家事を取り上げていても、「家事を”効率化しよう”」という雑誌であれば、冷凍食品や家事効率をあげるグッズの広告に適している。一方、「家事を”楽しもう”」と提案する雑誌もある。おしゃれな調理器具はこちらに広告を出した方が良いかもしれせんね。つまり、その商品の世界観にあった媒体に広告は出稿するべきで。

ただ、ウェブで世界観を伝えるのは難しい。

理由の一つは、雑誌は紙面に制限があることが世界観形成に寄与してますよね。。コーヒー特集を組む際も、ページ数に限りがあるので情報を選んで出さなくてはならない。その結果世界観ができる。一方、ウェブは、たくさんのお店も豆も全て見せることができてしまう。

あとは、人事的な評価も違いますよね。雑誌なら、良い特集ができたかどうかという全体性の結果を見ますが、ウェブは個別の記事がそれぞれ別の評価をされる。

そう考えると、「北欧、暮らしの道具店」が広告媒体となるまでに世界観を持っているというのは、すごく稀有なことだなと。一体、愛される世界観というものは、どうやって作ったのですか、青木さん。

青木
いや、愛される世界観を作っているのは妹であって、僕ではないんです(笑)。


では、妹さん。

「北欧、暮らしの道具店」店長・佐藤(以下、佐藤)
うーん、世界観があると評価していただけることはとてもありがたいのですが、実は世界観を意識して運営したことは本当に無いんです。

もともと私個人としては、人の暮らしってものにすごく興味があったんですね。本質的に私がやりたかったのは、「北欧、暮らしの道具店」を通して、誰かの人生にささやかにでもポジティブな影響を与えたいということ。

テーマにしている「フィットする暮らし、つくろう」は、他人のものさしではなくて、自分のものさしで満足できる暮らしを作ろうよという意味で。それは、北欧の方たちの暮らしを見て、こんな風に過ごしたいなと思った暮らしです。

私自身も真摯に生きたいのに、どうしても人と比べちゃったり、もっといいお母さんになりたいけどそうもいかなかったり。実際の暮らしは切実ですよね。

そんな自分のような方々に、何かポジティブなエネルギーを受け取ってほしい。記事を通してはもちろん、可愛いものを衝動買いしていただくことでも。そういうお買い物ってすごく「非日常」だと思うんですよね。可愛い食器でお茶を飲んだら5秒ストレスが無くなったり。

客観的に見たときに世界観があるって思われるとすれば、私たち運営側にそういう切実な思いがあって、それをもとに店に出すあらゆるコンテンツ、クリエイティブを取捨選択しているからなのかもしれません。そして、その思いのところだけはなかなか真似したくてもできない部分だったりするのかなって。

ECメディアだからできる切実な広告


そうですね、それはなかなか真似できませんよ。今、いろんなメーカーや企業が「暮らし」を売りたいと考えています。家電メーカーはもちろん、トヨタが車メーカーではなく、モビリティカンパニーになると宣言したり。

でも、そういう発想ができるメーカーは少なくて多くのメーカーは、商品のスペックのことしか言わないんですよね。いざ広告を作ろうと思った時にも、ひたすらスペックを推してほしいなんて言ってきませんか。でも、それでは売れないわけで。

「北欧、暮らしの道具店」のタイアップ広告では、そういった企業の要望とはどのように対峙しているのですか。

佐藤
大きな結論からいうと、タイアップコンテンツも通常コンテンツも、両方とも同じ編集方針で作ることを意識しているんですよね。

では、どういう編集方針なのかと言うと、読まれそうなものでも、自分が書きたいものでもなく、「自分が読みたいもの」をつくるということで。それは、商品も同じで、売れそうなものでも、売りたいものでもなく、「自分が欲しいもの」を仕入れるという方針があります。


いいですね。でもそれ、めっちゃ難しいですよね。商業メディアになっていけばいくほど難しい。なぜできるのでしょう。

佐藤
スタッフとのコミュニケーションは密に取りますね。もちろん一筋縄ではいかないことですが「制約」と「編集方針」の間で揺れることをいとわないからこそ既存にはない価値を作り出すことができる、だからやりがいがあるよね、と話すようにしています。そして、その方針にそぐわないタイアップのお話は、申し訳ないのですがそもそもにお断りさせていただくこともあります。

あと、スペックを推したい企業様に対してどうしているのか、というところには、私たちが長年ECサイトとして培った経験が役に立っているのではと思います。

これまでも商品のスペックを紹介しながらも、自分の暮らしに取り入れたらどういうポジティブな影響を与えるのか、というストーリーを作る力はつけてきましたから。苦労がないといったら嘘になると思うのですが、わりと自然にこなせることなのかもしれないです。

青木
広告事業ができたのは、広告とECサイトのコンテンツを作るっていうことが全く同じ仕事だということがわかったからなんですよね。ECサイトの場合は、最終的にカートに入れて欲しいと考えますが、それが広告の場合はクライアント様のページに落とし込むという違いだけ。

全く同じこだわりと技術でできるから、同じスタッフで別に広告チームとか作らずにできる。だったらやろうって。


ああ、同じチームでコンパクトにできるのはいいですね。広告業界は無駄に図体がでかい。ぼくらもこのB&Bという本屋を始めて、BtoCのビジネスを始めてからわかったことがたくさんあります。広告業界がもっと自ら小売店をしていれば、変わることも多いのではないかと。

青木
まあ、僕らは、ECサイトですから、そもそも紹介した商品が売れないと食っていくことができなかったので、そういったコンテンツを作る力はついているのかなと。


既存のメディアの耳が痛いところかもしれないですね。売れても売れなくても良い、なんとなく良いでしょってやってきたメディアは。どのくらい見られて、そこからいくつ売れてと、全部可視化されるECサイトであった「北欧、暮らしの道具店」は、一般のメディアとガチ度が違うというのはあるかもしれない。

青木
僕らはお客様ともメディアとして関係性を結んでいるんじゃなくて、お店として関係をつないでいるということも大切で。

佐藤にも店長という肩書きを変えないでいてもらっているのは、僕らはあくまでお店だよというスタンスでいたくて。メディアは客観性とか公平性が求められる。でも、お店は基本的に店長のおすすめですっていう「主観」なので。

オススメの商品を紹介するという広告は、「主観」の方が受け入れられやすいと思うんですよね。ただスペックを並べて商品を紹介するということは実際には面白くないからしませんけど、でも基本的には真正面から商品のことを紹介して、真正面から受け入れてもらいやすい関係ではあると思います。

もちろん、必ず僕らが紹介すればめちゃくちゃ売れますよとは言い切れませんが、僕らのお客様に好感を持ってもらうことはできますよ、とは言えるんじゃないかと思います。

暮らしを想像させるプロモーションの強さ


世界観によって、売れる商品は変わってくると思うのですが、「北欧、暮らしの道具店」で開発したオリジナル商品でこれは良かったと思うものはありますか。

佐藤
この2年くらいは、オリジナルブランドは洋服に力を入れてやっていまして。モデルの香菜子さんとコラボレーションして作った『洗いざらしはマイルール』というトップスは大変ご好評いただきました。もう、何回も何回も再販を繰り返した商品です。


どこがウケたんですかね。

佐藤
どういう人たちのための服なのかという明確なコンセプトが、トップスのデザインと商品ページのクリエイティブに表現できたと思います。

わたし自身も含め自分のファッションセンスに自信がバリバリありますということではないけれど、暮らしの中で、少しでもよりおしゃれな自分になりたいと願っている方たちにむけて作ったというか。

子育て中の方だったら、一枚着るだけでパッとコーディネートが決まる安心感が欲しいかなと考えたり。袖口を止められるつくりになっていて、洗い物などの家事の最中に袖が落ちてこないというこだわりもあります。

これを、香菜子さんのご自宅にお邪魔して、実際の生活シーンの中で着ていただいている様子を紹介しました。


洗い物をするときに袖口が止められるようにする、というところまで考えられても、モデルさんの家にまで行って、実際の暮らしの中で撮影までしちゃうそのリアリティがすごいなって思うんですよね。

いまのお話し聞いて、この本屋B&Bも近いことをやってるかもと感じました。

オープン前、まずは本棚をたくさん用意しないといけなかったのですが、お金がなかったのでKONTRASTっていう北欧家具のリペアをしている家具屋さんの倉庫にあった本棚を使わせてもらって、代わりにその本棚をここで買えるようにしたんです。ここの本棚、全部値札がついていて売っているんですよ。

佐藤
すごい!


おかげで僕らは本棚を買わなくて済みましたが、この本棚が驚くことに結構売れるんですよ。なぜかというと、家具屋さんで売っている本棚には本が入っていないんですよね。でも、ここで見ると本が入っていますから、実際に使っている姿をイメージできるわけです。ブラウスのお話と繋がるところがありますよね。

競争のない「自由」な場所を探して


青木さん、今後の展望は?

青木
あんまりないんですよね。幸せにやりたい。でも、幸せにやるのって難しい。環境はどんどん厳しくなっているな、という認識はあるので、その中でどう幸せにしていくのかと。


Eコマースの環境は厳しいのですか?

青木
Eコマースというよりも、インターネット全体でプラットフォーマーの力が高まっていますよね。プラットフォーマーに広告費、利用料金などの「税金」を払いながらやるか、自立してやるかという大きい選択はしないといけない。

でも僕らは、一貫してそういった世の中の枷(かせ)から逃れたいんですよね。クラシコムのミッションは、「フィットする暮らし、つくろう」で、それを実現するための方法論として「自由・平和・希望」というビジョンを掲げていて。

他者に支配されない「自由」を獲得する、他社と無益な競争をしないための「平和」を確保する、今日より明日、今年よりも来年良くなると今思える「希望」のあるビジネスだけをやりましょうという三か条です。この中でも特に「自由」はトップにあげていて。すごく難しいけど、自由を侵されない立ち位置をこれからも探っていきたいですね。


例えば、車がコネクテッドカーになったり、家がIOT化したら、直接車や家にコンテンツを配信できるから、メディアとコンテンツを作る人が逆転したりすると思うんです。今は、新聞社が取材をして記事にして印刷して家まで届けるわけだけど、そのまま家に配信することだってできるわけで。そうすれば今の巨大な企業だけが強いという世の中は変わるのかもしれませんよね。

青木
そんな世界になったらいいですよね。

必要とされ続ける存在になるために


佐藤さんは、今後「北欧、暮らしの道具店」で挑戦したいことは何ですか?最近は、ラジオもされていますけど。

佐藤
ラジオの収録は一番楽しい時間ですね(笑)。

私は、ある方がおっしゃっていた言葉をいつも胸に抱いていて。それは、「常連というのはいつも通ってくれるお客さんのことではない。そのお店がなくなったら困る人たちのことだ」という言葉で。

ですから、私が店長という立場で考えているのは、うちのお店が‘なくなると困るという人がいなくならないためにはどうしたらいいか、ということ。切実に、「北欧、暮らしの道具店」と繋がっていたいな、仲間でいたいな、触れ合うとなんか元気でるなと思い続けてもらうためには、手を変え品を変え、お客様にどういうものを提供していけばいいんだろうかということをすごく考えています。

先日公開したドラマの制作にチャレンジしてみたこともそうですし、ラジオもそうですね。


ラジオは、どういうことをやっているんですか。

佐藤
隔週日曜日に「日曜ラジオ チャポンと行こう!」というタイトルで、私と編集スタッフ1人とお客様からいただいたお便りをもとに、ゆるーくトークをするという番組を半年くらいやっています。やっと3000人から5000人にくらいの方が再生していただけるっていうところまで来ました。


それはインターネットラジオでは結構すごい数字ですよ。ラジオって暮らしには入り込みやすいですよね。耳を塞がないイヤホンや、スマートスピーカーも出てきて、家事をしながら聞けるし。「北欧、暮らしの道具店」が音声コンテンツで人の生活に寄り添う存在になるっていうのはすごくいいなと思います。

佐藤
配信する日にもこだわっていて。これも、なくなってもらっちゃ困るっていう存在になるひとつの取り組みにもなるんですけど。


メルマガやLINE@も曜日や時間を決めて配信していますよね。いつでも観れるネットだからこそ、そういうのはいい。

佐藤
いつも「自分」だったらどうだろうって考えるんです。水曜日は、まだ木・金もあるし、ご飯作りたくないなぁ。そんなタイミングで簡単レシピが配信されたら楽になるんだじゃないかとか。

そんな中で、日曜はどうかと考えると、いくら仕事にやりがいを感じていてもこれから5日間働くのか…、と切ない気持ちになるよなぁと。だから『サザエさん』を観て振り切ったり、『情熱大陸』を観て頑張るぞって思ってるのかも。日曜の夜にやってるテレビ番組ってめちゃくちゃ意味があるよなって思うんです。

そこで、日曜日の夜に、「自分」みたいな人たちが切なさを抱えていると勝手に仮定して、ゆるゆるとしていて、聴いた後に明日からもマイペースでいっちょがんばるかって思えるような編成を考えているんですよね。

ーー質疑応答ーー

【質問】自分たちが読みたいものを書くということでしたが、「読者調査」などで顧客の意見を聞いたりしますか。

佐藤
私たちのコンテンツにどのくらいの満足度や愛着度を持ってくださっているかを測るために、年に1回よりも多くお客様アンケートはしています。

でも、それはお客様の要望をうかがうことを主目的とはしてなかったりします。お客様に調査して何かを作るってことはほとんどやっていないんですね。

スタッフにはいつも、「『北欧、暮らしの道具店』は、“私たちのような”誰かのためのメディアです」と言っていて。私だったら何が欲しいか、何が読みたいかと考えて欲しい。スタッフのほとんどは元お客様ですしね。

ですから、お客様にアンケートを取るのではなく、自分で自分にアンケートをすることが必要だと考えています。


広告でも、消費者インサイトなんて考えたりしますけど、結局自分に行き着くことも多いですね。

佐藤
でも、この「自分」が何に違和感を持って、どんなことを嬉しいと感じているのか、と自分に向き合うことってなかなかキツいんです。外に答えを求める方がよっぽど楽だと思います。

【質問】「自由・平和・希望」ということでしたが、とはいえライバルを意識しちゃうこととか、他がこうやってるからこうしないととか思いませんか?誰からも好かれたい欲求って人間誰しもあると思うのですが。

青木
僕らは「自由・平和・希望」を実現するために、「非競争志向」という行動指針を掲げているんですね。

競争というのは、同じことをやるから発生する。競争しないためには、僕らが他と同じことをしないという以外に、僕らと同じようなことをする人が出てきた時に戦いを回避しなくてはならないんです。つまり、迎え撃つぞ!俺たちが本家だから!みたいなことではなく、この辺は混み合ってきたから別のとこに行こうかという発想をします。

そもそも、フィジカルが強いわけではない人たちでやっていますから、迎え撃ったところで負けそうだなって(笑)。混み合ってきたから戦おうは、僕らにとっては不自然でしんどいことだ、という考えが根本的にあります。

佐藤
誰からも好かれたい欲求っていうのは、おっしゃったとおりゼロではないと思います。何の葛藤も無いかと言われると嘘になるとは思いますが…。

まあ、そういう風にしてやってしまったこともあるんですよ。他で売れてると思ってうちで仕入れちゃったこともあるし、他のメディアでバズってたから、うち的に置き換えて世の中の流れに乗ってやってみようって。そんなに数はないですけど、やったことはあります。でも、そこには、愛着も共感も私たちが持てないんですよね。そして、そういうリサーチャー目線で持ってきた企画って、やっぱり売れないし、読まれない。

その経験から、自分たちの立ち位置やオリジナル性はどこにあるんだろうと考えるうちに、他を競合した目でみないように訓練されてきたのかもしれません。

【質問】お話を聞いていて、自分を信じられないと難しいなと思いました。私が好きだから売れるはずだとか、みなさんに受け入れられるはずだって思いがないと厳しいなと思ったんです。お二人は、自分が信じられなくなる時とかメガネが曇る時はありませんか?

佐藤
難しいですねぇ。曇ってないっす!っていうのは、感じ悪いですよね。でも、うーん、でも、正直に言えば、曇ってないです(笑)。

青木
僕はどちらかというと、ずっと曇ってます。だから、佐藤が確信を持って「そうだ!」と言ってることに対して、本当に大丈夫?と心配してまわって、まあ大丈夫そうかな、と進めてもらうというような。佐藤が確信役、僕が心配役、といった役割分担ができているのかもしれませんね。

佐藤
でも、私も自分の好きを信じているとか、センスを信じているとかではないですよ。どうして曇らないかと言うと、「自信がない」というパワーがすごくあるんですね。自分の好きに自信がないんですよ。でもだから、曇らずやっていれるというか。

自分に自信がないから、同じように私が欲しい情報、読みたい記事を必要としている人がたくさんいるんじゃないかというところには自信がもてる。

自分の好きが自信があるからどうや!という感覚は、創業当時から現在に至るまで全く無くて、むしろ自信がないから提示できるし、私はこんなんだけど、こう思うんだけどどうですか?という投げかけをしてきました。自信がないからこそ、曇らない。

青木
世の中は、すごくない人の方が多いですよね。すごくない自分が思うことは、たくさんの人が共感するんじゃない?と。

日頃から自分に自信のある人が、これもいいね、あれもいいねと言っていたら当てにならないけど、普段から「これ大丈夫かな…」と思っている人が、「これはいける!」となるなら、それはたくさんの人もいけるんじゃないか。そういう意味で曇ってないという感じはしますね。

 

前編:全然違う兄妹だからこそ生み出せた「北欧、暮らしの道具店」誕生ヒストリー

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