「北欧、暮らしの道具店」の価値観を広めたい。新しい広告のかたちを探し続ける。 クラシコム 事業開発グループ【後編】

書き手 編集スタッフ 小野

「北欧、暮らしの道具店」の価値観を広めたい。新しい広告のかたちを探し続ける。 クラシコム 事業開発グループ【後編】
「北欧、暮らしの道具店」を運営するクラシコムのスタッフに、働き方やビジネスについて聞く「クラシコムの人々」。今回は、対企業の広告事業などを手がける事業開発グループのマネージャー、高山達哉を迎えての後編です。

前編では、事業開発グループ誕生からBRAND NOTEの取り組みについてのお話を中心にお届けしました。後編では、高山がクラシコムの広告事業を通して感じることや、10月から始まった、動画制作や商品同梱も行う新しい取り組みBRAND NOTE PROGRAMについて聞きました。

BとCって違う人?シームレスな関係性で捉えてみる

高山
企業担当の方々と直接さまざまな話をすることで感じたのは、こだわりや熱い想いを持っているんだな、ということのほかに、「同じ」なんだということでした。

子育て中のママという共通点があったり、「北欧、暮らしの道具店」の読者だという共通点があったりという意味で、僕たちと「同じ」なんだなと。

この気づきはすごく大きくて。広告としては、クライアントである「企業の人」と「消費者」とは分けることが一般的だと思いますが、「北欧、暮らしの道具店」というコミュニティの中では、その二つが対等な関係性にあると思ってもらいたいと考えました。これはクラシコムのスタッフとお客さんという関係性と同じなんです。

──今聞くと、企業の担当者さんも同じ、ということは当たり前のことだなぁと思うのに、実は私もBRAND NOTEに関わるまで全くの盲点でした。お恥ずかしい……

高山
そうですよね。僕もそうでした。

「北欧、暮らしの道具店」はB to C で、新しくB to Bでの事業でBRAND NOTEを立ち上げようとなったとき、B to Bの作戦を立てようとしたけれど、結局BもCも、向き合う人は同じだったんです。

企業の担当者さんがプライベートな時間に「北欧、暮らしの道具店」を読む人になればC、日中はオフィスに行くわけですから、Bになる。だからB=Cだという考え方にたどりついたんです。

──根底にその考えがあって、企画を練っている感じがすごくします。

高山
営業活動でも、僕らと近しい人、仲間を探しに行く感覚なんですよ。

──言い換えれば、共感できる人を……

高山
そうですね。「まだ見ぬ仲間はどこにいるかな?」というワクワクした気持ちで出かけるから、営業もすごく楽しいです。そして、出会えた時の喜びは格別です。

そんな時に僕みたいな、北欧っぽくないやつが出てきてしまって申し訳ないですけどね。(笑)。

──あはは。高山さんは、北欧じゃなくて、南米っぽい雰囲気醸し出してますからね(笑)。

高山
「北欧、暮らしの道具店のファンです」というメッセージとともに、仕事の相談のメールを下さる担当者さんがいたり、お話した時点ではサイトのことを知らなかった担当者さんが、後日「先日御社でワイングラスを購入してみたら、とてもよかったです」と伝えてくださったり。

ワイングラスを買ってくださった方は、もともと弊社を知らなかったのに、Cになったわけですよね。Bで繋がったことをきっかけに、Cになった。本当にシームレスなんですよ。BもCもシームレスだということは、今後さらに意識して取り組んでいきたいです。

たとえば、いますごくやりたいと思っているのが、1ヶ月4社様限定のBRAND NOTEの枠を全部同じ企業さんでやることなんです。

1ヶ月はその企業さんとの記事も出るし、「北欧、暮らしの道具店」で買い物したときに商品に同包されている小冊子もその企業さんと1冊まるっとタイアップしたものがついていたり、その商品自体も同梱されていたりと、徹底的にやってみたい。もちろん、お客様が不快に感じない、むしろ喜んでもらえる設計のもとですが。

パートナーとなる企業さんのおかげで、「北欧、暮らしの道具店」の送料が無料になったり、リアル店舗が期間限定でオープンするみたいなこともできる可能性があるんです。そういうことができたら、お客さんと企業の関係性ってよくなると思う。お客さんと企業を僕たちがつないで、シームレスなコミュニティをつくるのが、事業開発のテーマだと感じていますし、そんな世界って素敵だなと。

新プログラムの芽は、クライアントのニーズから

──BRAND NOTE PROGRAMが始まって、よりタイアップのやり方の幅が広がったようですね。具体的にどのようなメニューがあるのか、教えていただけますか。

高山
いままでひとつのメニューだったのが、5つに増えます。まず、「BRAND MOVIE」という動画プランです。第一弾のお取り組みは、以前記事やイベントでもご一緒したことのある、キリンビバレッジさんのmoogyとご一緒しました。

──(実際の動画を見て)かわいい。北欧暮らしの道具店的CMをつくりますってことですね。動画であっても、これまでの記事と同じように構成は編集とプランナーで考えるんですか。

高山
そうですね。今後は外部の方にも関わっていただく予定ですが、今は撮影も社内でやっていますよ。「うちらしい動画って何だろう?」というアプローチから落とし込んでいければと思います。

「BRAND GIFT」は、「北欧、暮らしの道具店」でお買い物いただいたお客さんを対象に、企業さんの商品を同梱してお届けするプランです。モンデリーズさんの「プレミアム」と第一弾のお取り組みをしました。実は、お客さんの購買体験が損なわれたらどうしようと内心は不安で。そこで、その後お客さんにアンケートをとったんですよ。

──そのアンケート結果、拝見しました。みなさんけっこう好意的でしたよね。

高山
そうなんです。超、嬉しかったです。お客さんに喜んでいただけている!と。僕らの新規プランは、お客さんに喜ばれるかが重要ですから、それがクリアできたら、あとは企業さんに対してもちゃんと勧められます。

広告のミッションは、お客さんの選択肢を増やすこと

社内スタッフもいいねって言ってくれて、お客さんも喜んでくれたら、その価値は絶対だと確信します。

──そこに迷いはないんですね。

高山
もしそれで企業さんに対して売れないメニューだったら、おそらく売り方が悪いから、そこを見直していくべきなんです。

先ほどのアンケートで印象的だったのは、「暮らしを心地よくしていきたいと考えているからこそ、考えや好き嫌いが偏ってしまう。だからこういう機会に商品を気軽に試せて、それが『北欧、暮らしの道具店』さんがセレクトしたものが届くのならば安心して試せるし、自分の世界に選択肢がひとつ広がる」って書いてあったことなんです。

──BRAND NOTEの根幹って、身近なものの良さを伝えて、普段の選択の幅を広げることですものね。

高山
そうなんです。事業開発グループでやりたいのって、結局選択肢を増やすことなんですよね。企業さんが仲間に入ってくれることで、僕らが伝えられる選択肢ってぐんと増えるんです。

そのためにも、ご一緒する企業さんの幅も増やしていくことが大事です。まだ出会えていない、仲間になってもらえそうな担当者さんに、どういう風にアプローチするかは課題ですが、これからは企業担当者さんを対象にしたクローズドなサロンのようなことも、定期的にやっていきたいと思っています。

あとはなんだろうな。商品開発もやってみたいですね。商品の中身というよりも、「暮らしにどう取り入れてもらうか?」というところから設計して、デザインできればおもしろいかなと思います。

──最近、日用品のパッケージでも自分好みを意識する人が増えているがしますよね。ドラッグストアで売っているものに関しても、箱ティッシュの外側って昔は全然みんな気にしなかった気がするけど、今は違いますよね。

高山
僕らのプロフェッショナルは「暮らし」に関してだと思うので、中身は企業さんに開発してもらって、僕らの持っているものと掛け合わせて売れたらと考えるとワクワクしますね。

能力ではなく、キャラクターで採用できる度量

高山
BRAND NOTEの取り組みも拡がっているので、僕ら事業開発グループの仲間になってくれる広告プランナーを探しているんですよ。

他のメディア運営をしている人と話していても、良い広告営業がいないとか、営業って大変だという話を聞くことも多いんですよね。

でも、営業に大切なことって、動機があるかどうかだと思うんですよね。じゃあ動機ってなにかというと、「絶対この商品はうちと相性がいいから、こんな提案できそう」とかいう気持ちで。その動機があれば、いろんな方向からアプローチを考えて、がんばろうと思えるんですよ。

そこのワクワクを持てれば、おそらく誰にとっても、全然営業って辛くないですし、担当者さんのインサイトを掴み、提案し、素敵な取り組みにつなげていくって結構クリエイティブだなぁと。

──「北欧、暮らしの道具店」の世界観を理解してキュンとできて、その世界を広げていくイメージさえできれば。

高山
事業開発グループは、全部やるんですね。受注して終わりじゃなくて、コンテンツのディレクションもするし、納品まで全部見ます。その場合、僕らの大切な仕事って「決める」ってことんなんです。広告案件である以上、クラシコムではプランナーがその責任を追うべきだし、「これってどう思いますか?」って担当スタッフから聞かれたら、良いのか悪いのかという判断をしないといけない。だから、すごくおもしろいし、たくさんインプットしないといけなので、全部やるのが絶対いいと僕は思うんですけど、そうなるとやっぱり、リソースが…。新しい取り組みをやっていく中で、仲間が必要だと思いますよね。

──高山さん以外の事業開発グループのメンバーは、前職はどんなことをされていたんですか。

高山
中村は、もともとIT企業の宣伝部で仕事をしていました。だからどちらかというと広告を出稿する側ですよね。

高松は、インターネットの広告代理店でプランナーとして広告の運用などをしていました。

──3人それぞれ、やってきたことは結構違うんですね。どういうことをやりたい人だったり、得意な人が「北欧、暮らしの道具店」のプランナーに向いていると思いますか。

高山
大前提は、「北欧、暮らしの道具店」の世界観や価値観に共感してもらえて、その価値観を広げていきたいって思えるかがむちゃくちゃ重要です。

営業職って、売り上げをつくればインセンティブがあったりしますよね。僕らは、そういうのは一切ありません。いくら売っても、逆に全然売らなくても、その月の給料やボーナスは全く変わりません。しかも、そんな評価されません、みたいな(笑)。

じゃあどこが満足度につながるかというと、僕以外の2人はよく「自分がいいと思ったものを売りたい」って言ってますね。それが「北欧、暮らしの道具店」なんですよね。でも僕らはあくまでプロジェクトの枠組みを設計する役割だと思っていて。プランナーとして何をプランニングするかというと、ディティールの企画よりも枠組みなんです。ディレクターとの役割の違いや自分の立ち位置を理解できるかどうかは重要かなぁ。

──伝えるためにいろいろな策を練って、黒子的に頑張っているのがプランナーの仕事なんですね。はたから見ると、クラシコムのプランナーなんて取り合いになるくらいのポジションな気がしますけれど……

高山
それが、なかなか難しくて。1つ条件があるといえば、どこかに可愛げがあるとか、現場にいて負のオーラ出してないとかが大事なんですよね。撮影現場にいて、場をサポートして「よっ!」みたいな感じで盛り上げられる人はウエルカムです。

仕事のスキルの部分はそこまで問うてないんですよ。事業が仕組み化されていないと、結局スキルを重要視して採用するしかないんですが、どんな人が来ても回る仕組みがつくれたら、パーソナリティを重要視して採用できますよね。それが、僕らが今目指していることなんです。

──なるほど……。ちょっと思い当たる節が、優秀なんだろうけれど、愛想がなさすぎだよ!っていう「仕事ができる人」っていますよね。

高山
属人的なスキルで回っている事業だと、スキルを属人的に持っている人を入れないと回らないんですよ。そこを突破するのが、僕らの次のフェーズとしてすごく重要なんです。

仕組み化するって言いましたが、一番いいのは、「どうやったらいいか分からない状況」ではなく「やり方は明確になっていて、後はやるかやらないかの状況」になっていること。今は実績もつくれてきて、企業さんとの関係値も深まってきている。だいたいどのくらいアプローチすれば決定ができるのかという指標も見えています。
僕らが積み上げてきたことを、「やればきっとみんなできるよ」という仕事にしていくことがマネージャーとしての僕の役目ですね。

プランナーは伝道師?新しい広告のありかたを伝える

高山
今後もっともっと僕たちの広告に対しての考えを伝えていきたいんです。よくチームのみんなに言うのは、「僕ら伝道師やから!枠を売ろうとすな」と(笑)。

「僕らの考え、価値観を伝えていこう」っていうのが結構なモチベーションで、だからこそこのクラシコムジャーナルっていうコーポレートメディアもやっているし、より広く伝えるためにクラシコムジャーナルの冊子も絶賛製作中です。

──伝道師の内容を端的にいうと、クラシコムのビジョンである「フィットする暮らし、つくろう。」なのですか。

高山
企業さんに「フィットする暮らし」といっても、ちょっとピンとこないと思うんですよね。ここで言いたいのは、僕らとお客さんの関係性についてで、よく業界でいう「エンゲージメント」ってことですね。

──エンゲージメントって私にとっては聞き慣れないのですが……

高山
「北欧、暮らしの道具店」のお客さんは僕らを信頼してくれているし、「北欧、暮らしの道具店さんが言うんやったら聞くよ」という関係性を築いてこられました。僕らがいうことに対して、聞く耳を持ってくださる関係性がある。

その関係性があるからこそ、BRAND NOTEで伝えることができる。僕たちも伝える責任を負っているからこそ、他では出せないような成果を出すことができる。そんな価値をずっと伝えているつもりです。

──お客さんと伝える側で完全に壁があるものでなくて、関係性を結んでいるみたいなことが価値ってことですかね。

高山
もうひとつあるとしたら、その価値をある一定のボリュームで出せるというところですね。ページビューだったりとか、リーチみたいなところで、SNSもパワーがあるし。そういった価値も結果としては大切だと思います。

暮らしっていうものに対して、興味関心が高い人にしっかりつながっているんです。この関係性を持っているメディアってなかなか珍しいんで、それを伝えていきたいです。

──そうですよね。ある意味、対等な関係性でお客さんといい関係を築いている、メディアでもできるんだということですね。

高山
それはうちのスタッフが、日々一生懸命やっていることの結果なんですよね。たとえばコミュニケーションチームはお客様からの問い合わせ対応等をすごく誠実にしてくれているから、お客様もいいお店だなって思ってくれるし、MDチームがすごく考えながら商品を仕入れたりオリジナル商品をつくってくれているから、「こんな商品欲しかった!私のこと分かってくれるお店だ!」と思ってくれる。

──どの仕事の人も、クラシコムチーム全体で補完しあっているのですね。

高山
結局僕ら事業開発グループの仕事は、その価値を企業さんに対して話しているだけなんですよね。だから、社内に対してめちゃくちゃリスペクトがあるんです。事業開発グループが売上をあげててどう偉い?って全く思っていなくて、皆さんのおかげです、って素直に思っていますし、最高の仲間だと自負しています。

 

※11月28日に代表青木と高山がクラシコムの広告事業について話します。ご興味ある方は以下バナーよりご確認ください。

※現在、プランナーの募集も行なっていますので、ぜひご覧ください。

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