プレミアムな価値を目指して、「北欧、暮らしの道具店」BRAND NOTEにかける夢 クラシコム 事業開発グループ【前編】

書き手 編集スタッフ 小野

プレミアムな価値を目指して、「北欧、暮らしの道具店」BRAND NOTEにかける夢 クラシコム 事業開発グループ【前編】
クラシコムジャーナルは、「フィットするビジネス」「フィットする仕事」をテーマにしたコーポレートメディアです。これまで、様々な方とお話をしてきましたが、このNOTEカテゴリーでは、私たち株式会社クラシコム自身が、どんな仕事をしているのか、どんな試行錯誤をしているのか、ということをお見せしていきます。

クラシコムの運営する「北欧、暮らしの道具店」は、ECサイトとして、商品をご紹介するほかに、毎日更新の「読みもの」を充実させています。そのなかに、企業とのタイアップ広告として制作しているBRAND NOTEというコンテンツがあります。

初のB to B事業のチャレンジとして始まったBRAND NOTEは、これまで45ブランド、134本の記事を企画・制作してきました。大変ありがたいことに、2018年2月までの枠はほぼ埋まりつつあります。

このBRAND NOTEコンテンツをプロデュースするのが、クラシコムの事業開発グループ。今日は、当グループでマネージャーを務める高山達哉が、クラシコムの広告に対する姿勢や、BRAND NOTEについてお話します。

聞き手は、BRAND NOTEの外部ライターも務める小野。普段、制作に関わるたびに感じていた「愛ある広告」の秘密を探ります。

「ありがとう」と言ってもらえる広告をつくりたい

──高山さんとは、BRAND NOTEの制作でご一緒させていただいたこともありますが、そのときは「プランナーさん」と認識していました。今、改めて名刺を拝見すると「クラシコムの事業開発グループのマネージャー」なのですね。

高山
はい。このグループに今は僕を含めて3人在籍しています。

──高山さんは、前職は何をされていたのですか。

前職では、企業さんのオウンドメディアの立ち上げやコンテンツマーケティングの支援をしていました。あと、会社が運営するメディアのタイアップ案件も担当をしていまして、そこでクラシコムの求人記事のディレクションをする機会があって、代表の青木とそのときに面識ができていました。その後、しばらく交流はなかったのですが、1年後くらいに突然声がかかったんです。

──なるほど。そのディレクションの手腕を見込まれて……

高山
いやいや、あとで聞いたところによると「現場で優しくディレクションしてたから」らしいですよ(笑)。

「北欧、暮らしの道具店」がメディア化していったのは、2010〜2011年くらいなんですね。その時点から、青木の頭の中には、「北欧、暮らしの道具店」が広告を掲載する立場になる構想があったんだそうです。

広告を掲載する価値を提供するためには、メディアとしてそれなりの影響力がないといけないので、数年間はその価値を築いている期間でした。それが、月間1000万PVを突破するようになったり、お客様からの信頼をよりいただけるようになったり、広告としてちゃんと売れるぞ、というタイミングになり、僕に声がかかりました。

ただ、僕が青木から広告事業の構想を最初に聞いた時点では、BRAND NOTEという具体的なかたちにはなってなくて、「お客様からありがとうって言ってもらえる広告をつくっていきたい」という話をされたので、転職するしないは別として、めちゃくちゃ共感して、すごく盛り上がった記憶があります。

──わぁ、素敵な発想です。

高山
ですよね!広告って、業界的にどうしても手法ありきの発想になりがちで。

でも、青木や店長の佐藤は、ビジネス的な成功よりずっと手前の「人の感情」のことをいつも言っていたんです。僕もそれまでの仕事で、一番モチベーションが上がったのって「ありがとう」って言ってもらえること、感謝してもらえることで。そういった発想から事業を立ち上げられるのはおもしろそうだと思いました。

今までB to Cで運営してきたECサイトが、B to Bにチャレンジするということにも魅力を感じました。新聞や雑誌がそうであるように、BからもCからもお金をもらえることで、さらに面白いメディアになると思ったんです。ただ、利益を得ることはあくまでも手段で、目的としては、収益を使ってより魅力的な「場」をつくること、という考え方も共感しました。

歩いて歩いて…ゼロから仕事を組み立てる

高山
で、2015年9月に事業開発グループの最初の1人としてクラシコムに入社したんですけど、想像以上に何もないところから始めることになりました。事業開発グループといっても、僕は事業を立ち上げた経験もなかったですし。とにかく、まずは、人に会いに行きました。会社の中にいててもしゃーない、と(笑)。

最初は、営業するというよりも、どういうポイントに企業の担当者さんの気持ちが動くのか、魅力を感じてくれるのか、課題を抱えているのかをリサーチしていました。僕は、広告業界のことも詳しく分かっていなかったので、教えていただくスタンスで。広告主にも広告代理店の人にも、教えを請う感じでアプローチしていました。

──どのくらい外回りをしていたんですか。

高山
最初は青木と行っていましたが、毎日3件くらいはアポを入れていましたね。青木が途中で体調不良になるくらいまで回り続けていました(笑)。

──それだけハードだったんですね……。具体的にはどんな人に会いに行ったんですか。

高山
入社して1か月くらいの間は、知り合いの企業担当の方に転職のあいさつをしつつ、青木が持っていた名刺を全部もらって、話を聞いていただけそうな方を探してアポを取っていきました。あとは、企業から配信されるプレスリリースを片っぱしから見て、アプローチしましたね。

そうやっていろんな方とお話をさせてもらいながら、ちょっとずつ繋がっていった感じです。そして、最初に受注できたのが、キヤノンさんとキリンビールさんの案件でした。

社内にも全くノウハウがない且つ進行スケジュールがタイトな状態だったので、かなり編集チームにも負担をかけてやってもらった感じなんですが…、この事例を作ることができたおかげで、その後につながっていったと思いますし、事例の大切さを実感しました。

値段は制作コストから考えない。「プレミアムな価値」はいくら?

──これまでのBRAND NOTEの記事を見ると「前回が好評で2回目のお取り組みです」とか「1年を通したお取り組みです」というものもありますが、基本的にはまずは1回お試しでやってみる、という感じですか。

高山
「お試しプラン」はありません。最低の出稿単価も比較的高めで、300万円なんです。それよりも安いプランはないんですよ。だから、トライアルにしてはなかなかハードルが高いと思います。

でも「北欧、暮らしの道具店」のBRAND NOTEは、価値あるタイアップ広告でありたいんです。それは逆説的にいえば、価値を出すためには、どうすればいいのか?と問うことで。

──シンプルに考えれば、他にはないプレミアムな価値を提供できるのであれば、高めの値段設定にもなりますよね。

高山
それは、新しく始まった「BRAND NOTE PROGRAM」の他のメニューでもそうですけど、「プレミアムな価値を提供するんだ」と思っているんですよね。

「プレミアムな価値とは?」「たとえば500万円に値する価値を提供するならどういうものになる?」という問いから入ったほうが、いいと思うんです。とにかく高く売ろうと思っているんではなくて、実は100万円のプランよりも500万円のプランのほうが、そのクライアントに喜んでもらえる取り組みになるんじゃないかということまで考えたいんです。

でも、いろいろなメディアの方と話していると、広告の値段て、制作コストや業界の相場から考えることが多いそうなんですよね。制作コストとして原価がこれくらいで、利益を乗っけたら売値はこれくらいだよねって。

──なるほど。でも、そうすると、制作費をこれくらい抑えれば、安くできます!みたいになることもありますよね。

高山
一度安売りしちゃうと、それ以降もその習性って残っちゃうし、コミュニケーションにも出ます。結果として、クライアントに喜んでもらえないですよね。だから僕らは、安売りをよしとしない。というのも、事業開発グループには、売り上げのノルマはないんです。たぶん、ノルマがあったら売り上げを達成するために、安くしてでも売らなくてはいけなくなる。

でも、僕らがそんな風に、ノルマなくやっていけるのは、ECとしてすでに大きな柱事業がある状態で広告事業を始められているからですけどね。売り上げを広告に依存しなくていい、広告が取れなくてもみんなごはんが食べられる前提があるから、「無理をしない」「こちらからお断りする」というカードを持って営業活動を行うことができるので、それはとてもありがたいことだと思います。

先方からのせっかくのご相談を「お断りする」ということも、実はすごく大変で。しっかりと誠実にお断りできるかどうかは、僕たちの仕事にとても求められている気がします。

──実際にBRAND NOTEをつくるときは、どんな風に企画は決まっていくんですか。

高山
入社してすぐは、「北欧、暮らしの道具店」という媒体の文脈とか世界観、どんな切り口が読者に受けるかがよく分からなかったんです。だから当初は、青木、店長、担当編集者と僕で常に企画会議をしていました。

思い返せば、青木と店長 佐藤という経営者が新規事業に対して、コミットしてくれたからいい立ち上がりになっていったと思いますし、感謝しています。

今は、基本的にはプランナーが企画を考えて企業に提案して、合意が取れたら担当編集も一緒にさらに具体的な企画に落とし込んでいきます。

──企業側から「こういう見せ方・流れで記事にしてください」と細かい要望をもらうこともあるのですか。

高山
それはないですね。基本的には、全面的に任せてくださいます。企業の方は、僕らのことを読者に共感してもらうためのノウハウを知るプロフェッショナルだと認めてくださっているように感じます。そして、それは、僕らのメディアの世界観や文脈がしっかり存在しているからだと考えています。

その分、企画を考える前提として大事なのが、企業へのヒアリングです。僕たちも企業さんに対して、商品におけるプロフェッショナルだというリスペクトがあるので、伝えたいことはなにか、ということをしっかりお聞きします。

──高山さんたちがヒアリングするときの企業側の雰囲気というのは、「こういう風に伝えたいけど伝わっていない」とか、「伝えるのって難しいよね」というような、悩み相談みたいな感じなのでしょうか。

高山
それに近い感じはあります。15秒や30秒のCMでは言い切れないことってたくさんありますよね。どの担当者さんもめちゃくちゃ商品に愛情やこだわりを持っているんです。

その愛情は、多くの場合ブランドサイトに綴られるんですが、商品のサイトってなかなか見てもらえないという悩みも多いですね。

作り手には正面切って伝えたいことがある

──私も何度かBRAND NOTEのライターとして企業の担当者さんにお会いしていますが、みなさん、本当に熱い想いをお持ちで、いつも感銘を受けています。

高山
僕らも、担当者さんの想いをとても重視しています。

BRAND NOTEのコンセプト自体が、スーパーやコンビニで売っているような身近な商品で日々の暮らしは支えられているのに、そこに込めたこだわりや人の想いはあまり知られていない。それらを知ってもらい、信じられる商品を1つでも増やしてもらうことで、暮らしを少し豊かにしてほしい、そんなコンテンツを提供したいというもので。

このコンセプトは、企業の担当者さんにとっても大事なことのようで、みなさんご自分ではなかなか言いませんが、僕たちが提案したときに「そうなんです!」と共感してくれるんです。

実は、メディアの広告担当者は、企業の担当者さんとは直接会わず、広告代理店を通してしかコミュニケーションしないパターンも多いんです。でも、企業の担当者さんって気づきを与えてくれるパートナーなんですよね。

今まで45ブランド、134本のBRAND NOTEを制作してきました(2017年10月時点)。そのうち広告代理店さん経由の相談から始まったのは7ブランドだけで、15% くらいと少ないのが、僕たちの特徴です。

売るためには媒体価値についてある程度の説明が必要ですし、いざ僕たちに相談してもらった段階ではすでにその月の枠が埋まっていたりする商品なので。代理店さん的にも売りにくいですよね(笑)。

直接企業さんに対してアプローチする理由は、案件を通して企業の方たちから学びたいんです。どういうニーズや想いがあって、どういう評価をしてくださるのか。間に代理店さんが入ることによって、企業側が本当はどう思っているのか分かりにくくなる場合もあるので、直接ということに重きを置いているんです。

広告の後に読者さんにアンケートをとるのも珍しいのではないかと思います。広告ってディスられる可能性の方が多くて、100人いたら100人に広告が好かれるっていうことはないと思うんですよ。だから、アンケートでは厳しい意見をいただくこともありますし、僕らも怖いんです。

でも、そこで数字とか何万PVとかじゃわからないお客さんの声が企業さんに届けられるのも、ひとつの価値だと考えています。ありがたいことに、多くのお客さんから嬉しい意見をアンケートでいただけています。

あと、実際に企業の方と一緒に広告をつくってみると、案外企業の方が広告表現を気にしているんですよ。「ちょっと表現、広告っぽいので」って写真や文章についてコメントくれて、「いや、そんな気にならないですよ!」って逆に僕が思っていたり(笑)。

──分かります!私が立ち会った撮影の現場でも、「商品を出さない方が、感じいいですよね…」と引っ込められたりして(笑)。

高山
そうなんですよ。自制心がありすぎるくらいの担当の方も多くて。

むしろ、「正面切って、堂々と言いましょう!」みたいな感じはあります。

──BRAND NOTEの記事を読んでいても、実際に制作に関わっても、担当者さんの気持ちをうまく拾ったり、触れたりしていることが価値のひとつな気がしますよね。

高山
そうですよね。BRAND NOTEが立ち上がるときに「女性向けのカンブリア宮殿のような設計だよね」って青木と話していて。

カンブリア宮殿も企業の中の人が出てきて自社のこだわりやポイントを話すのですが、宣伝色をあまり感じないし、むしろ「いいな」って感触が残る。それはきっと、村上龍さんや小池栄子さんという視聴者から見て信頼できる2人が聞き手だから。そこの関係性があるから、心地よく見られる。その設計が大事だと思っているんです

だから、僕たちスタッフが出演して話を聞くというスタンスを取り入れたりしています。

一方で企業の人たちも、「こういう取り組みができないか」など、アイデアをどんどん言ってくれるんですね。そういうニーズあるんだと気づかされることも多々あって……。

最近の事例だと、企業側のブランドサイトでコンテンツをつくって欲しいとか、パンフレットにBRAND NOTEの記事を二次利用したいとか、あとは商品自体に記事に飛ぶQRコードをつけてくださったり、いろいろやり方があるのだなぁと。イベント一緒にやりませんか?と声をかけてくださったのも嬉しかったなぁ。

僕たちとしても、「こんなプロセスによってお客さんがこんな気持ちになって、その結果として御社の商品を買ってくれる世界って素敵ですよね。」ということを伝えたくて。「どれくらい売るか」だけでなく「どうやって売るか」に重きを置いた、心地いい購買行動が生まれる広告に一緒にチャレンジしませんか?なんてことをやりたいんです。

後編「「北欧、暮らしの道具店」の価値観を広めたい。新しい広告のかたちを探し続ける

※11月28日に代表青木と高山がクラシコムの広告事業について話します。ご興味ある方は以下バナーよりご確認ください。

※現在、プランナーの募集も行なっていますので、ぜひご覧ください。

 

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