暮らしを支えるロングセラーブランド

おなかの健康を守り続けて80年。「ヤクルト」は子どもにも大人にも飲んでもらいたい、その理由とは。

書き手 忠地 七緒

写真 忠地 七緒

おなかの健康を守り続けて80年。「ヤクルト」は子どもにも大人にも飲んでもらいたい、その理由とは。
子どものころから当たり前のように近くにある商品。いつもそばにあるのに意外とそのものにどんな想いが込められているか知る機会は、なかなかありません。

「暮らしを支えるロングセラーブランド」は、わたしたちの生活に身近な商品にスポットをあて、その愛され続ける理由を紐解く連載シリーズです。

連載第9回に登場するのは、「ヤクルト」。株式会社ヤクルト本社の山口智幸さんと島田真実子さんにお話を伺いました。

(写真左)
株式会社ヤクルト本社 開発部 開発課

山口 智幸
入社から21年間ずっと開発部一筋。味のコンセプト作りからパッケージデザインまで商品の開発に広く携わっている。野球が好きで、もちろん東京ヤクルトスワローズのファン。好きなヤクルトは「Newヤクルトカロリーハーフ」。

(写真右)
株式会社ヤクルト本社 業務部 企画調査課

島田 真実子
「食にかかわる仕事がしたい」とヤクルト本社へ入社。営業企画などを経て、現在は商品戦略、新製品導入計画の立案、推進に関わっている。好きなヤクルトは「毎日飲むヤクルト」。

ヤクルトの誕生は戦前。菌が病を予防する?

——ヤクルトが誕生したきっかけを教えてください。

山口智幸さん(以下、山口) 突然ですが、「ヤクルト」に入っている「乳酸菌 シロタ株」を発見した代田 稔(しろた みのる)をご存じでしょうか。

代田はヤクルトの創始者であり、医学博士です。戦前、栄養状態が悪く命を落とす子どもたちがたくさんいました。当時、おなかにいる悪い菌が原因で感染症になることが多かったようです。そこで「感染症を防ぐ菌を探そう」と研究を重ね、1930年に見つけたのが乳酸菌シロタ株です。

「乳酸菌 シロタ株」は、菌が生きたまま腸に届き、悪い菌を減らし、腸内環境を改善してくれます。ひとりでも多くの方に毎日取り入れてもらいたいという想いから、1935年に「ヤクルト」として商品化しました。

——ヤクルトはどのように売られていたのでしょうか。

山口 最初は販売店を作って、そこからご家庭に直接お届けしていました。牛乳屋さんのイメージが近いかもしれません。

当時は「菌」と聞くと赤痢菌などの悪いイメージがあって、乳酸菌の効果を理解してもらえなくて大変だったと聞きます。だから直接ご家庭にヤクルトをお届けしていました。お客様のお宅へ伺って、商品の説明をしてからご購入いただくというプロセスを大切にしていました。

ロングセラーだからこそ、ちいさな変化を積み重ねる

——発売から80年以上経っていますが、昔から変えていないこだわりはありますか?

島田真実子さん(以下、島田) あります。わたしたちは「代田イズム」と呼んでいるのですが、「予防医学(病気になる前に予防する)/健腸長寿(健康な腸が長生きにつながる)/誰もが手に入れられる価格で」という想いを大切にしています。すべての事業活動の原点はこの「代田イズム」です。

——予防医学や腸内環境について80年以上も前から注目されていたのはすごいことですよね。

島田 そうですね。腸には人の免疫細胞の半数以上があると言われるくらいですから。

——手に取りやすい価格もうれしいです。

島田 1本数十円という価格はずっと守ってきています。今「Newヤクルト」は1本40円なんですけど、40円の商品って最近あまり見かけないですよね。

——発売当初と今を比較して、変わったところはありますか?

山口 ラインナップでしょうか。今は味の好みや飲むシーンに合わせてヤクルトシリーズとして7種類販売しています。そうそう、乳酸菌の数も増えているんですよ。昔の「ヤクルト」は1本(65ml)あたり65億個だったのが、今の「Newヤクルト」は200億個です。

——200億!桁が大きすぎて驚きます(笑)

山口 あとはヤクルトのふたを開ける時につまむタブ。あれ、結構小さいですよね?

開けづらいという声を多くいただいたので、ヤクルトレディがお届けする「ヤクルト400」はタブをちょっと大きくしたり、お店で販売している一部のヤクルトにはストローをつけたり…。小さな工夫をほどこしています。

ヤクルトは幅広い年齢の方に飲んでいただけているので、全員に満足してもらうことがすごく難しい商品なんです。それでもご要望をできるだけ聞き流すことなく、ちいさな改良を積み重ねています。

ヤクルトの飲み方って、意外と自由なんです

——個人的に「これが好き!」というヤクルトはありますか?

島田 よく飲んでいるのは「ヤクルト400」です。あとは1本で満足できる「毎日飲むヤクルト」も好きですね。

山口 わたしは「Newヤクルトカロリーハーフ」。カロリーと甘さのバランスがちょうど良くて、今、売上的にも成長株の商品です。うちの子どもが最近甘いお菓子ばかり食べているので、カロリーハーフ飲みなさいって言ってるんですよ(笑)

あと、変わり種だとヤクマンですかね。

——ヤクマン…?

山口 ヤクルトと栄養ドリンク・タフマンを合わせた、知る人ぞ知るオリジナルドリンクです(笑)弊社1階の喫茶店・ブラジリアで飲めるので、ぜひ。

大人にもヤクルトを。みんなの健康を守る唯一無二の存在でありたい

——今日、お話をお伺いして、おふたりのヤクルト愛をすごく感じました。

山口 今、世の中に乳製品はたくさんありますが、わたしたちはどこかの商品と差別化を狙うというより、「ヤクルト」は唯一無二な存在だと思っています。やっぱりここまでおなかのことを考えた商品はなかなかないと思うんです。

島田 「乳酸菌 シロタ株」が入っている商品は「ヤクルト」しかないですしね。

山口 最近は、乳酸菌入り食品なども目にするようになりましたよね。でもヤクルトとしては、乳酸菌が入っている食品ならば何でも良いわけじゃなくて、確かな研究成果を持ったものを選んでいただきたいですね。そこにはわたしたちも自信を持っていて。

これからももっとヤクルトについて知ってもらいたいし、お子さまから大人まで、多くの方にお届けしたいです。

——最後に、ヤクルトが目指す今後について教えてください。

島田 今日、取材にあたって久しぶりにヤクルト飲みませんでしたか?(笑)まさにそこが課題だなと思っていて。ヤクルトはみんなに愛されている商品なんですけど、ヤクルト=子どもの飲み物っていうイメージが定着していて、ある一定の年齢になるとヤクルトから離れていってしまうんです。

でも、ヤクルトは子どものためだけの飲み物じゃなくて。むしろ腸内環境があまり良くない大人にこそ飲んでほしい飲み物なんです。だから大人をヤクルトに振り向かせたいですね。

例えば、ビジネスパーソン向けにコンビニで買える商品を開発したり、「ヤクルトは甘いからちょっと…」という方に向けて、甘さやカロリーをおさえた商品を出したりしています。ライフスタイルに合わせた商品を開発して、大人との接点を増やしていくことは、今後ずっと続けていきたいですね。

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